軍事郵便の手紙は、触れてはいけないことに触れないようにしながら、どこからともな く分からせて呉れるような人の心を感じます。切手だけを収集する楽しさとは違った面白 さがあります。面白さと言ったら軽率ですが、戦争を体験した者にとってはよく分かりま す。収集していた人の中には、こういう文や毛筆体の解読から古文書解読の道へ行ってし まった人もあるくらいです。私は、はじめの頃、あまり関心を持たなかったので、戴いた り手に入れた「はがき」類は、ちょっと目を通すとしまってしまいました。何年か経つて 、他のものを整理した時に、その量に驚き、年代別に区別してみました。でも、そこまで で再びお蔵入り。「はがき」の一部が晴れてホームページ入りと云うわけです。
この軍事郵便を挙げたのは、「菊青枠はがき」に似せて作られているのに、よく見ると 子供の仕事みたいなはがきだからです。作られた経緯はよく分かりません。まず、「美術 起業館印刷」とあることです。周りの枠の上部に「作文はがき」。右側には、「此の表面 には宿所姓名を限り認むべし」。左側には、「宛名人の宿所は宛名よりも大書すべし」と 印刷されています。切手の部分の中を見ると、円の上部は、「大日本□□用品」とあり、 料額に相当するところが「壹□」。□は枚か?があります。そのほかは省略します。消印 は、第2軍第1野戦郵便局の明治37年5月23日と同年5月31日が見えます。日露戦争の軍事郵便です。