旧小判切手とバラエティーに富んだ手紙
明治初期の郵便切手は、どれを取ってみても手元に置きたいものばかりです。始めにも言
いましたが、明治8年イタリヤ人エドアルド・キヨソーネによって導入された電胎版式の
凸版印刷による切手、出来上がったのは「旧小判切手」と言われる切手です。機械で製造
したにしては、バラエティーに富んでいます。例えば、「目打ち」という、20ミリの中
に小さく開けた穴の数の違いだけでも、38種類にも分けられます。それに「紙質」など
を組み合わせると、額面は同じでも、もっともっと沢山な種類になります。これは同額面
の切手だけについての話ですから、料額別の種類を合計すると随分沢山な種類になるので
す。そのバラエティーに興味を持って嵌まり込んでしまうと、もう抜けられなくなります
。専門店やデパートで探すのもいいですが、これは細部まで調査済の切手。出来ることな
ら、親戚・友人・知人のお宅で、戸棚を探させて戴くと、ありふれた切手なのに、研究の
上からも稀少価値の切手が見つかることがあります。こんなに煽ってはいけませんが、そ
れが趣味の楽しいところ。やがて多くの先輩が研究した書籍を読みたくなってしまうのです。
さて、切手を見ると、現在の切手とあまり違いはありません。消印はその時その時で少し
違いますが、はっきり押されているものを見ると、その地名に懐かしさを感じたり、不足
印だと、先日出した手紙の切手は不足ではなかったかなど思い起こしたりします。それに
しても、ここにある手紙は、封筒を使う私たちを驚かせます。折り畳んで大小様々。切手
は表裏構わず貼ってあります。中には、住所の上に貼ってあるのもあります。役所の手紙
は、税先払いなどというのもあります。消印の研究を楽しみにやっている人には、この旧
小判切手とその前後の手紙は、たいへん便利と言うか、バラエティーに富んでいると思います。
平凡なものばかりですが、まず手紙を眺めて見て下さい。