誤作(エラー)切手と言われる切手があります。工程の途中で規定通りに作られず、失 敗した切手です。切手製造以前、すなわち、版を作る時点での誤りもこの中に入っていま す。たとえば、桜の花びらを作る過程で、花びらの一つを落としてしまったとか、線が細 くて欠けてしまったというようなことまで含んでいるようです。製造工程では、色違い、 裏印刷(裏写り)、目打ちの位置移動、目打ち無し(本来あるもの)などなど、正規の切 手に見られない切手を「誤作(エラー)切手」といいます。切手収集の常道からすれば、 無視してもいいようなものですが、長い間には、ちょっと遊んでみたい気持ちにもなり、 面白いじゃあないかということで、いつの間にか収集のジャンルに入ってきました。
写真をご覧になるとお分かりのように、人物像が、完全に裏へ写り、糊もしっかりと付 けられています。よく見ると、実は裏写りではなく、印刷中ルーラーに付いてしまった絵 の具が、印刷紙の裏へ印刷してしまったのです。鮮やかですと、見ていて楽しいので、こ んな収集分野が生まれたのでしょう。郵便切手製造に困難を伴うような時にたくさん出来 る切手のように思います。道具や機械を使用して製造するわけですから誤作も出来ます。 また、貨幣の完成検査と同じように厳しい検査が行われるのですが、その検査の目をくぐ り抜けることが出来たから、市場へ出てきたのですね。
「目打ち」というと、使用時に正しく切り離すための穴なのですが、明治5年頃から始 められています。穴の大きさ・穴の数は、その時々で異なりますが、収集家にとっては鑑 定のための重要な要素になっています。これも、戦時中は乱れた切手が出ました。緑色の 造船の切手には甚だしいものがあります。