化け乃木




 AD1944年昭和19年10月といえば、次の年の8月15日は戦争終結の日。そこ ここで米軍機の空襲を受け、廃墟と化した町も出始めました。本来軍隊や駐留地また軍需 工場、交通機関のような場所の空爆でしょうが、それが拡大されていったのでしょう。大 きな工場と見れば軍需工場と見なし、印刷局も同様に痛めつけられたと思います。そのよ うな中で、郵便切手は作られていたのです。ここに掲げた「乃木大将の2銭切手」は、昭 和19年10月に発行された郵便切手です。本来うすい紅赤色というのが、どうしたわけ か朱色にあがっているのです。これも、物資不足で混合色が出来ず、より近い色というこ とで落ちついたのかと考えられます。人物像がはっきりしていないために、切手収集家は 、「化け乃木」というニックネームで呼んでいる郵便切手です。ただ、もう少し後で発行 された切手よりも、目打ちや糊が多少しっかりしています。戦争の経過とともに質の悪い 切手になっていくのです。



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